早いもので、3週間の短期留学プログラムも全行程が終了し、無事に帰国の途に着きました。皆、大きく体調を崩すこともなく、それぞれが夢見たアメリカでの生活を大いに満喫できたであろうことを、まずは引率者責任者として、ほっと肩をなでおろしています。

16歳の生徒たちが見たアメリカは、果たしてどんな国だったのでしょうか。学校での課題もほとんどなく、服装や髪型も自由な現地の学生たちを見て、これぞ自由の国、アメリカだと感じたことでしょう。

一方、彼らよりも少し(!?)、人生経験を積んだ引率教諭の私としては、個人の自由と権利を尊重するアメリカでの生活を目の当たりにしたとき、必ずしも生きやすい社会とは言い切れないなと複雑な気持ちになりました。今回、生徒たちがお世話になった高校の先生方の中には、学校の給与だけでは生活できないため、アルバイトを掛け持ちしている方がいらっしゃいました。中には、夏休みにレストランで給仕の仕事をする方もいらっしゃると聞きます。また、出産後3ヶ月での仕事復帰を余儀なくされたり、授業や部活動で使用する物品が教師負担であったりと、教師個人の負担がかなり大きいと驚きを隠せませんでした。

そんな中、コロラド州が、教育費削減を検討しているとのことで、3月20日(木)に急遽、学校を休校にして、多くの先生たちや生徒たちが抗議活動を行うため、デンバー市内に向かいました。スクールバスや電車等でコロラド州会議事堂前に駆け付けた人々は、各々が用意したプラカードを手に、アメリカ全土でも特に教育予算が低いこの州の、さらなる経費削減を阻止しようと議会に訴えました。

さて、アメリカ人は仕事の契約にないことはしないと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、私から見たトーマス・ジェファーソン高校の先生方は本当に働き者でした。朝、6時30分には職場に着き、授業の準備をし、7:30から職員会議を行い、放課後も部活動やイベント準備を行うため、ときには夜21:00まで働いている先生方もいらっしゃいました。また、学校職員のSさんは、ソーシャルワーカーとして自身の職務を全うする中で、生徒たちの中には、学校生活におけるサポート以前に、衣食住を含めた生活全般の支援を必要としている者も多いと感じ、厳しい状況に立たされている生徒やその家族に、卵や缶詰などの食糧や、子どもたちの衣服やカバンなどを提供するプロジェクトを立ち上げました。今年は、30家族が利用しているとのことです。 

さて、生徒の一人に今回の短期留学で一番良かったことは何かと問うと、「これからもずっと友達でいたいと思える人たちに出会えたこと。」と答えてくれました。こちらが思った以上の素敵な言葉に、ふと目頭が熱くなりました。

最後に、2024年度短期留学(1)~(5)のHP記事をお読みくださり、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。来年度も引き続き、このプログラムは続く予定です。多くの生徒たちが良い機会を得て、ますます大きく成長することを祈ります。


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